『偽果と真果といちごの話』

偽果と真果といちごの話

ハーブティーの中で、ポピュラーなブレンドにローズヒップティーがあります。
ハイビスカス(ローゼル)とのブレンドが一般的なため、赤くて酸っぱいお茶と思われがちですが酸っぱいのはハイビスカスで、ローズヒップは淡いピンク色でほのかな甘味があります。
いまだに誤解した人が少なくないのは、それだけ飲んだことがある人が多いということでしょう。

ローズヒップはバラの果実です。
「ヒップ」とは野バラを意味する言葉に由来しています。
バラの果実と言っても、正確には「花床」と呼ばれる先端部位が膨らんだもので、植物学上は「偽果」と分類されます。
偽果に対して「真果」があります。真果は、成熟した子房が果実になっていく「ブドウ・桃・梅などの一般的な果実」を指し、偽果は「花托、がく、苞などの子房以外の部分が生長・肥大して、その植物の果実の主要部分」になったものです。
「梨、いちご、いちじく、びわ」などが偽果に当たります。
子房が生長したものか、そうでないかの違いで「偽果」「真果」が決まるわけです。

偽果である果実の「いちご」を観察してみましょう。
果実と思って食べている部分は植物学的には果実ではなく「花托(花床)」の部分が膨らんだもので、「種」と思っていたツブツブの部分が「実」です。
もっと正確にいうと、ツブツブは「痩果」と呼ばれ「果肉がなく1個の種をもつ果実」だそうです。
痩せた果実というより種しかないので、果実部分を持たない痩せた果実の種とも言えます。
実際には、そのツブツブ(痩果)がたくさんある方が食用部分が大きくなるので、重要な働きをしています。
栄養面では、7粒で一日に必要なビタミンCを摂取できるほどの含有量があり、アントシアニン色素を持ち、すぐれた抗酸化作用が特徴です。

いちごの甘みは保湿効果があります。どれだけ保湿効果があるかと言うと、チンキにしてみると分かります。
他の果実に比べると粘液質が抽出されて、とろみのあるチンキができます。
色素や香りもしっかり置換されるため赤く可愛い化粧水が作れます。
紫外線予防にも活躍しそうですね。
また種からは、ビタミンEが豊富なオイルが採れます。
あの小さなツブツブから採る作業を想像すると、かなり希少価値のあるオイルですね。

余談ですが、毎月「ショートケーキの日」という日があります。
どの月でも良いので、カレンダーを開いてみてください。
いちごの「15日」の下は、必ず「22日」です。
ショートケーキにはいちごが付き物なので、毎月「22日」がショートケーキの日になったそうです。
面白い語呂合わせですね。

ローズヒップティー
ローズヒップハイビスカスティー