『夏の早朝に咲く蓮花』

夏の早朝に咲く蓮花

仏像の鎮座されている台座は蓮の花で「蓮華座」「荷葉座」といいます。
蓮の花は、粘土質の泥水から生まれ水面からはその清楚な姿を表すことから、仏様の鎮座する台座に選ばれたという説があります。
また蓮の花は古代から存在し、約2000年前の蓮が現代になり目覚めたことなど、ロマンを感じさせるエピソードがたくさんあります。
暑さに強く、ジリジリするほどの日差しでも凛とした涼やかな姿で咲き誇っていますが、一番きれいなのは午前中です。
午後になると花弁を少しだけ閉じてしまいます。
そして次の朝再び開きますが、その繰り返しも4日で終わりです。
4日目には花弁を閉じる力もなくなり花弁を落としていき4日間の命が終わるのです。
蓮池に花托や花が増えていくのは、地下でれんこんができるからです。
れんこんが生長する間はその節目から花芽が育ちますが、最後は花芽のない葉(止め葉)ができ、れんこんの生長も終了。
秋には果托だけの池になります。


蓮は、根茎(れんこん)、葉、花、種子(果実)のすべてが、お茶や食品になります。
葉は荷葉、種子は蓮肉、蓮子と呼ばれて生薬になります。
花は高価な精油としても、またお茶としても使用します。
世界三大美人の楊貴妃も、蓮の葉茶や花茶を愛飲していたという記録があります。
なかなか蓮の花茶は見かけないのですが頂いてみたいものです。


蓮の葉(荷葉)は利水作用があります。
水分代謝は血液循環にも関わりますから健康や美容におすすめのお茶です。
むくみやすい人や湿気のある季節に体調を崩しやすい人は水の巡りが弱いタイプなので、蓮の葉茶はお薦めです。
蓮の実(連肉)は体力補給や美肌にお勧めのスタミナ美容食です。
手軽にお粥に加えたり、和菓子屋さんでは甘納豆を見かけます。
種子は、黒く硬い果皮に包まれて泥水の中に沈みますが、そのままでは芽は出ません。
何かのきっかけで種皮に傷がつくと芽がでます。
それ以外は古代の蓮が現代に目覚めたように何年も沼水の中で静かに眠りにつくのです。ですから蓮は根茎(れんこん)で増えるのが一般的です。


ちなみに、「花が咲くとき朝早くにポンと音がする」というまことしやかなエピソードが有名ですが、残念ながらそれは事実ではないということも分かっています。