優れた薬草「アーティチョーク」

優れた薬草「アーティチョーク」

ハーブティーは癒しのお茶。香り高い風味が副交感神経を優位にし、心と身体を緩めて健康に導いてくれる優しい健康茶。しかし癒しだけではないハーブティーがあることもハーバリスト達は知っています。

例えば、ローズヒップティーが酸っぱいと思い込んでいる方がたくさんいます。
酸味はブレンドされているハイビスカス(ローゼル)に含まれるクエン酸の味です。
ローズヒップには酸味はありません。
一度ローズヒップ単体で味を試してみると、本来の味を知ることに加えて自分だけのハーブブレンドに役立つかもしれません。
酸っぱくて苦手な方には、その酸味がエネルギー産生に必須で、夏バテ予防やダイエットに役立つのだと知ってもらうと意識が変わって美味しく感じるようになるかもしれませんね。

さて今回は、甘味と苦味を持ち、お世辞にも美味しいとは言えないハーブティーの代表格「アーティチョーク」の話です。
原産地は中央アジアで、15世紀にイタリアで本格的な栽培が始まったといわれています。
キク科で和名は朝鮮あざみ。
日本には江戸時代に伝わったと言われます。
名前の由来ですが当時は異国全般を朝鮮と呼んでいたとか・・。
あざみの名の通りに目立ちませんが蕾の先端に棘があるので、不用意に触るとビリビリと痛みが走りますので注意しましょう。
蕾を茹でると、ホクホクとした食感と味がゆり根やソラマメに似てほのかな甘みが美味しい野菜です。また葉はかなり苦い成分を持つために強肝作用のお茶になります。
アーティチョークティーは香りすらも苦みが漂ってくるほどの苦いお茶です。
心と身体をリラックスさせるお茶ではなく、ガツン!と身体に活を入れて元気にするお茶と捉えると分かりやすいでしょう。

ここで苦味と甘味に関して、気血水論と五行説の考え方から身体へのアプローチを見ていきます。
蕾の甘味は漢方での活用は「補気」、五臓では「脾」に良いとされる味です。
脾が元気であればエネルギー(気)と栄養(血)をたくさんつくることができます。
葉の苦味は五臓では「心」に相当し「肝」の「理気」に働きかけます。
「脾」が作った「気と血」を「心」が循環することで「肝」に行き渡るからです。
また五行説では「肝」に相当する味は「酸」ですが、「苦」も肝に必要な味であることは言うまでもなく、カッカとなりやすい「心」や「肝」のほてりを抑えてくれるのは苦味なのです。
ストレスでカッカしている方、暴飲暴食で「心と肝」が熱を持ちお疲れ気味の方には苦いアーティチョークティーで、ストンと落ち着きを取り戻してみてはいかがでしょうか。
またストレスでシュンと落ち込むタイプの方は「脾」が元気を失くしていますので、苦味よりも「補気」の甘味を中心に考えます。
脾が虚している時は「気と血」を作る力が衰えるために全体的に疲れ気味です。
苦味よりも甘い飲み物を、胃に優しく消化に良いものを食べて身体を休めてくださいね。

 *気血水とは身体を構成する3つの要素 *五臓「肝・心・脾・肺・腎」
 *五味「酸・苦・甘・辛・鹹」
 *五味は五臓や季節に深い関りがあり、症状に合わせた味を示しています。