『エルダーフラワーと科名』

エルダーフラワーと科名

植物には科名があります。
科名とは植物の身分証明のようなものです。
エルダーフラワーには現在、レンプクソウ科とスイカズラ科の二つの科名が並ぶことがあります。

ハーブの勉強をする人には、やっかいなところです。
植物の分類学者エングラーが、1900年ごろに提唱した考えが「新エングラー体系」と言う分類方法です。

植物の進化を元にした考えに基づいています。
この分類でいくとエルダーはスイカズラ科になります。
ところが、ここ20年ほど急速に発展したのが、植物のDNAの分析結果に基づいて分類する「APG体系」です。

この分類方法になったことで、慣れ親しんだ科名が消えたり、見た目でどうしても納得できない科名に変更された植物が多々あります。

たとえば、マツムシソウ科とオミナエシ科はスイカズラ科に吸収され、消えています。
アオギリ科とシナノキ科はアオイ科に吸収されました。
ブルーの可憐な花を咲かせるネモフィラは、ハゼリソウ科からムラサキ科へ。
シナノキ科だったリンデンはアオイ科へ、エルダーはレンプクソウ科へ。
レンプクソウ科の代表格に連福草(レンプクソウ)という絶滅危惧種が存在しています。

小さな花を咲かせる草花といった風情です。
れに比べると、エルダーは大きな樹になりますので、その二つが仲間になったことには驚きです。
エルダーは、初夏に小さな純白の花を咲かせ、その一つ一つの花が「エルダーフラワー」と呼ばれるお茶になります。
フレッシュの時は真っ白ですがドライにすると、黄色~濃い黄色に変わります。

エルダーフラワーといえばフラボノイドハーブの代表と言われ、ハーブティーを入れると透明感のある美しい黄色のお茶になりますが、その色素が「フラボノイド」です。
語源はラテン語の黄色(Flavus)から来ています。
また、エルダーフラワーといえば「インフルエンザの特効薬」の別名があります。

発汗、利尿作用に優れているため、カゼのひき初めに積極的に飲むことで、外から入ってきた「邪」を追い出すことができます。
風邪やインフルエンザなどの感染症は自分で作る病気ではなく、外から入ってくる「邪」なので、身体に入れないようにする予防と、いち早く追い出すことがポイントになる養生になります。
そのためには発汗作用と利尿作用が大きな役割を果たします。

風邪をひいてしまったらハーブティーを入れるのも辛いものです。
いざという時のためにチンキやコーディアルを作っておくと、手間もかからず便利です。

 ※「エルダーフラワーコーディアル」の作り方はこちらから→ハーブクッキング

エルダーフラワーティー

エルダーはマスカットに似た甘い香りのハーブティーです。